「写真」という言葉

レンズに写る光
さて、「写真」という名称・言葉についてです。

19世紀に西洋から写真技術が導入され、まもなく日本で初の写真館が開業されたのは、拙稿「写真の日」にてご説明の通りです。

 「真」は「影」を表す言葉? 

「写真」という名称は、実は中国の明朝の時代(1300年代〜)の漢書の中にも残っているらしく、この「写真」という言葉はPhotography よりもずっと古くからあったことがわかっています。
古代中国では、「写」は文字通り「写す・コピーする」行為を意味する漢字ですが、「真」は元々は「物の影」や「本物の形」「本来の姿」など、「影」にまつわる漢字だった、とのこと。
なので、現在多くの方が普通に解釈されている「写真」=「真実を写す」というのとは少し違ってて、「(物の)影を写す」というのが、元来の意味だったようです。
この「真」の意味が歴史の中で変わっていって、現代では「真実」とか「正しい」という意味で使われるようになってきてるんです。

 日本画の世界にも「写真」という言葉が! 

この「写真」という単語は日本画の世界でも記録が残っており、江戸時代の絵師たちは「写生」「真写」「写真」という用語がよく使われていたそうです。
ここでの「真」の意味は、動物や植物といった生き物の姿・形を正確緻密に再現するにとどまらず、その活動や生き生きとした表情までをも再現しようとする精神(追求)を指します。
言い換えると、私たち日本人が好む「⚪︎⚪︎道」、例えば「柔道」や「空手道」と同列の、「写真道」というものだったのかもしれません。
「術」そのものや「原理」よりも、「考え方」とか「取り組む姿勢」とかいうものが、「真」の一文字に含まれていました。
「写す」という作業と、「本物の姿の再現を追求」する精神、この2つの意味が込められた「写真」という言葉が、photography が日本にもたらされるずっと以前からあったのです。

 魂を抜かれる? 

江戸末期の19世紀後半、西洋からもたらされたphotography という技法を目の当たりにした日本人はさぞかし驚嘆したのでしょう。
「コレに写ると魂を抜かれる」と恐れさえ抱いたのですから!
他にも「3人で写ると真ん中の人は早死する」とかいう言い伝えも昭和の頃までは耳にしました。

さあ、この最新の技法、何と名づければ良いのか…と、当時の人たちは考えを巡らせました。
そして、日本画で使われていた「写真」という精神に通じるものがあるとして、この名が付けられたのかもしれません。

“Photography” は 「光で描く」という、原理をそのままに表現した言葉、
「写真」は「真(まこと)の姿を追求し再現する」という精神を表現した言葉、
そのどちらもが、当時の技術革新や時代背景をも内包している、なかなか味わい深い名称なんだなぁと思います。

現在はホントに手軽に楽しめるようになっている「写真」ですが、
特に私たちのように写真撮影を生業としている者は、この原理と意味を深く理解し実践に活かし続けなければいけませんね!
あらためて、肝に銘じたいと思いました!

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写真

写真(しゃしん、古くは寫眞)とは、人類史上初めて登場した機械映像である[1]。

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